企業倒産回避の支援措置が発表に:30億ユーロの基金を設置

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ルメール経済相とデュポンモレティ法相は1日、危機からの出口戦略の一環として、企業倒産の回避を目指した一連の措置を発表した。事業の継続が可能であるが、危機を経て債務水準の上昇に見舞われた企業を支援する。
政府は、制限措置の段階的な解除に伴い、企業向けの支援措置を段階的に廃止してゆく予定だが、支援を失った企業が債務返済に行き詰まり、倒産に追い込まれるリスクがある。ルメール経済相は、経済的に事業の継続が可能であるが、危機により弱体化した企業を、企業全体の5-8%相当とする推定を示し、その支援策をまとめた。具体的には、弱体化した企業を上流から特定するため、関連の当局機関はデータを共有化し、アルゴリズムとAI(人工知能)のツールを用いて分析を行う。企業に対して、早い段階から対応を決めるよう促し、利用できる適切な手段へと誘導するという段取りになる。
利用可能な一連の手段としては、PGE(公的保証の伴う銀行融資)の償還期限の延長や租税・社会保険料の債務返済計画の設定など、導入済みの措置に加えて、中堅・大手企業向けの30億ユーロの「移行基金」を用意。返済期限を設定しない融資(準自己資本に分類される)から従来型の融資に至る支援を案件ごとに提供する。中小企業については、指名された管財人による債務再編の交渉や、従業員数20人未満の企業向けの3ヵ月間の簡易更生手続き(負債額300万ユーロ未満)の特別制度の適用などの措置を導入する。
企業倒産件数は2020年に3万4000件程度と記録的に低い水準まで下がった。支援措置により企業が延命される効果があったと考えられる。反動により倒産件数が大きく増加する恐れがあるが、出口戦略における新たな措置の効果で、平年並みの5万件程度にまで抑制できると期待されている。