政府、15業界に賃上げを求める

インフレ上昇を背景に、賃上げが重要な政治課題として浮上している。来年4月に大統領選挙が迫っていることもあり、政府は業界に対して賃金の底上げを指導しているが、業界側は反発している。
政府は、景気が回復局面を迎える中で人手不足も目立つ15部門(宿泊・外食、警備、清掃など)に対して、産別交渉を通じて賃金改定を決めるよう働きかけている。新型コロナウイルス危機の制限措置の下で就労を継続したいわゆる「第2列」(医療関係者などを第1列とし、それには入らない民間部門の就労者を指す)の低賃金雇用を中心に、貢献に見合った処遇をするよう、政府は経営側に対して求めている。ルメール経済相は、今年に6%を超える経済成長率が達成される見通しであることを挙げつつ、成長の恩恵は全員に行き渡るべきであり、特に低所得者の報酬を引き上げる必要があると言明している。これに一部業界側は強く反発しており、宿泊業界団体UMIHのグレゴワール会長は、「政府の専横」であり、賃上げの是非や日程を決めるのは政府ではないと批判している。同業界は14日にボルヌ労相と会談するが、この際に賃金問題も協議の対象になると予想される。
政府は、企業側に努力を求める手前、自らも低所得者層の所得増強に努力する姿勢を示すことを迫られている。ルメール経済相は13日、エネルギー価格が上昇しているのを踏まえて、低所得者向けの給付制度「エネルギー小切手」の増額や受益者拡大などを検討すると予告した。同制度は現在、600万人が受益者となっており、平均で年額150ユーロが支給されている。
これと関連して、大統領選挙への出馬を正式表明したイダルゴ・パリ市長(社会党)は、教員の報酬2倍増を選挙公約に掲げたが、これにはブランケル教育相が「大衆扇動的な主張」だと厳しく批判。左翼政党「不服従のフランス」のメランション候補も、これを「非現実的」だと批判し、舌戦が繰り広げられている。