モエ・ヘネシー(LVMH傘下)、コニャック不振で人員削減に着手へ

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仏高級ブランド大手LVMH傘下のモエ・ヘネシー(酒造)は4月30日、従業員に対して、全従業員(9400人程度)の12%余りに相当する1200人を削減する方針を伝えた。解雇によらず、退職者の補充を見合わせることで時間をかけて削減するという。
モエ・ヘネシーの主力の一つであるコニャックの不振に伴い、人員数の調節に着手する。同社としては異例の決定となる。コニャックは2022年より、市場の動向に陰りが出始めた。新型コロナウイルス危機の混乱を経て、主力の米中市場で不振が広がっているのが響いている。中国市場では、米欧の貿易摩擦を背景に、中国政府が去る10月に、欧州産ブランデーの輸入を対象とした保証金(34%)または銀行保証(39%)の差し入れを義務付けており、これが不振に追い打ちをかけている。米国市場については、トランプ米大統領が一時は示唆していた200%の関税導入は免れたものの、10%の一律関税の適用は4月9日に始まっており、既に消費減退が鮮明となっていた米国市場の先行きは一段と不透明になっている。
モエ・ヘネシーの2024年売上高は59億ユーロとなり、前年比で11%の減少を記録した。2025年に入ってからも、1-3月期に9%の減収(売上高13億ユーロ)を記録しており、後退が続いている。2月に就任したばかりのギオニ社長が立て直しを期して人員削減を決めた。