フランスの長期金利の上昇が目立っている。予算法案の国会審議が困難を極めて、財政健全化の展望のみならず、政局の先行き懸念が高まっていることが背景にある。
10年物長期金利は26日に3.05%まで上昇。ドイツとの金利スプレッドは0.87ポイントまで拡大し、2012年以来で最大の幅になった。ドイツでも、解散総選挙が2月に行われる運びとなり、政局が不安定化しているものの、フランスとは違い、財政状況の余裕はかなり大きく、差し当たっての懸念は小さいことが、大きな金利差となって現れている。
フランスの金利は、かつては信用懸念に見舞われていた南欧諸国との比較においても高くなっており、フランスの信用力が落ちていることが明確になっている。ギリシャの10年物長期金利は27日午前に一時フランスを下回り、その後はほぼ拮抗して推移。ポルトガルとスペインの10年物長期金利はかなり前からフランスを下回っている。唯一、イタリアのみが、ドイツとのスプレッドでフランスを上回っているが、フランスとの差は0.4ポイントまで縮まっており、このままだと逆転する恐れがある。フランスは2025年に3000億ユーロを起債する計画で、起債額は過去最大規模となるが、金利上昇は起債コストの増大を招き、財政収支をさらに悪化させる要因になりうる。投資家からの需要を維持する努力も必要になる。