バルニエ新内閣の顔ぶれが発表に

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バルニエ新首相による組閣人事が終了し、新内閣の顔ぶれが21日に発表された。共和党(保守)とマクロン大統領派の旧与党の人材を中心とする内閣になり、右派色の強い顔ぶれになった。バルニエ新首相は10月1日に国会で施政方針演説を行う予定で、そのあとに不信任案が採択されない限りは内閣が承認される運びとなる。
新内閣は総勢39人。アタル前内閣から7人が留任しており、全体として、アタル前首相に近い人材の起用が目立った。その一方で、共和党からは、上院議員団団長で移民問題や社会問題などで特にタカ派として知られるルタイヨー氏が内相に起用されており、バルニエ内閣の右派色を象徴する人事となった。また、ダルマナン内相や、共和党のボキエ下院議員団団長など、有力政治家は閣外に議員としてとどまっており、こうした「うるさがた」を野放しにしたことは、政局運営を困難にする要因となりうる。それと関連して、新内閣に迎えられた政治的な重みのある人物はルタイヨー氏ぐらいで、実績が多くない人材の登用が目立つ。首相として操縦しやすい布陣にはなるかもしれないが、ただでさえ少数内閣として支持基盤に欠ける政権の足元がさらに暗くなるというリスクもはらんでいる。他方、左派系の人材としては、HATVP(公職部門の監視機関)の議長を務めるミゴー氏が法相として入閣したのを除けば皆無で、マクロン大統領が約束していた開かれた多様な内閣とは程遠い。
極右RNは型どおり新内閣の構成を強く批判。施政方針演説の内容いかんでは、不信任案を支持する可能性を口にする者もあり、バルニエ内閣が発足後ただちに瓦解する可能性も完全には否定できない。左派陣営もバルニエ内閣の人事を批判。特に、ルタイヨー氏をはじめとして、かつての同性婚反対デモなどに加わった共和党の人材が内閣に合流したことを攻撃材料としている。