仏競争当局は8月19日、仏ラポスト(郵便)のMVNO(仮想移動体通信事業者)子会社ラポスト・テレコムのブイグ・テレコムによる買収計画を許可した。買収は関連市場の競争に悪影響を及ぼすリスクがないと判断し、無条件で許可した。
ラポスト・テレコムはラポストとキャリア2位のSFRが2011年に設立し、ラポストが51%、SFRが49%を保有。SFRのネットーワークを利用して、「ラポスト・モバイル」のブランド名でサービスを提供しており、キャリア4社に次ぐ携帯事業者となっている。キャリア3位のブイグ・テレコムが2月に9億5000万ユーロでの完全買収を提案してラポストと独占交渉に入り、7月12日に競争当局に買収計画を届け出ていた。
競争当局はラポスト・テレコムの市場シェアが限定的であることを理由に、ブイグ・テレコムによる買収が競争の構造に及ぼす変化は限定的と判断。ラポストは全国の郵便局網を通じて「ラポスト・モバイル」のサービスを販売しており、ブイグ・テレコムは買収によって、この広範な販売網も取得することになるが、これについても競争当局は、モバイル通信市場においてはオンライン販売や電話による販売が発達しており、郵便局網を通じた販売の重要度を相対化して考える必要があると判断した。
ブイグ・テレコムは今後、SFRの同意も得る必要がある。SFRは2026年末までネットワークをラポスト・テレコムに提供する契約を結んでいる。7月末の報道によると、SFRはラポスト・テレコムの売却には消極的であり、また売却収入の分配をめぐってラポストと意見が対立しているという。
ラポスト・テレコムの顧客数は230万人で、買収が成就すれば、ブイグ・テレコムの顧客数は現在の1770万人から2000万人前後に増える見通し。