マクロン仏大統領は3月27日、ブラジルの公式訪問を開始した。29日まで訪問する。
大統領は28日には、サンパウロで経営者団体主催のフォーラムに出席した。大統領はスピーチの際に、「あえて耳障りなことを言うが」と前置きした上で、メルコスール(南米南部共同市場)と欧州連合(EU)の間でまとめられた自由貿易協定について、現在の形では賛成できないとする立場を再確認した。大統領は、協定案が20年以上も前に準備が始まった古いものであり、「内容がとても悪い」とも言明。生物多様性と気候変動に関する問題が扱われていないことを特に問題視した。そのうえで、「20年前のメルコスールとは決別し、新しい協定を策定しよう」と呼びかけ、環境等の規則を遵守した製品を自由貿易の対象として認める協定の実現を目指す考えを示した。
マクロン大統領は29日にルラ大統領と会談する予定で、その際にEUメルコスール協定の問題も協議される可能性がある。ブラジル側は再交渉に応じる可能性を否定していないが、メルコスールの他の加盟国の反応という問題もある。それはEUの側でも同様で、交渉権は欧州委員会にある。マクロン大統領がメルコスールとの協定の見直しを要求しているのは、欧州議会選挙を前に、自由貿易協定に敵対的な農民の突き上げが高まっていることが背景にある。