学校にアラブ風の伝統衣装を着用して登校する生徒増える

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

このところ、学校に丈の長いアラブ風の伝統衣装を着用して登校する生徒が増えている。学校側では対応に迷いがある。
問題になっているのは、女子向けのアバヤ(abaya)や男子向けのカミス(qamis)などと呼ばれる衣服で、丈が長く全身を隠すようになる点に特徴がある。フランスでは、2004年の法律により、学校などの公共施設において、「誇示的な宗教上の印」を着用することが禁止されている。同法により、例えばニカブ(イスラム教の女性がまとうスカーフ)の着用は禁止されるが、アバヤのような服装が禁止の対象となりうるのかは判然としない。教育省は9月半ばにこの問題で見解を全国の中学・高校に提示。教育省はその中で、ニカブのような明らかな禁止対象の傍らに、アバヤを含む、それ自体としては宗教上の帰属を明らかにする印ではない服装などがあると指摘した上で、そのような服装については、生徒の態度を踏まえて、事実上の宗教上の印であるか否かを判断すべきであると指示。取り去ることを執拗に拒むなどの態度を踏まえて、禁止対象に該当するかどうか判断するよう求めている。
こうした見解に対して、現場の教員や学校長からは、解釈によらない明確な規則を定めるべきだとする声も上がっている。リヨン郊外のある学校では、着用してくる生徒と個別に話し合って、生徒の反応を確かめ、また、政教分離の原則について説明する機会を設けているが、このところは、SNSなどで入れ知恵されたのか、「私流のおしゃれ」とか「流行っている」など、禁止を回避しようとする回答が目立つようになっているという証言もある。