仏サフラン(航空機エンジンなど製造)は23日、パリ郊外クレテイユ市内に電動化技術の研究開発センターを開所した。この機会に、電動化技術の開発に関する日程を披露した。
サフランは、初の完全電動旅客機の就役が2027-28年以降になると予想している。12席程度の小型機となる。サフランは現在、「ENGINeUS」と名付けた航空機推進用のモーターを開発中で、出力で45kW(「ENGINeUS 50」)、160kW(「ENGINeUS 100」)、500kWの3バージョンを用意している。45kWは複数のモーターを搭載する「空飛ぶタクシー」型のVTOL機向けに、500kWは単発又は双発の9-19席旅客機向けとなっている。うち、ENGINeUS 50は、年末から2023年初頭にかけて、エアバス及びダエールと共同開発のプロトタイプ「EcoPulse」に搭載して初飛行が予定される。2023年6月までには、ENGINeUS 100の認証取得を予定。このモーターは、仏VoltAeroのCassio 330、仏Auro AeroのIntegral、米Bye AerospaceのeFlyer、米Diamond AircraftのeDA40、カナダのCAEのPiper Archerなどによる採用が決まっており、2023年初頭には製造工場の選定を終える予定。年産100基程度の製造目標になる模様。
クレテイユの研究開発センターでは、次世代ハイブリッドエンジン「Rise」の開発も進められる。ナローボディ中距離機(エアバスA320やボーイング737)向けの次世代エンジンとして開発され、電気駆動を組み合わせることで20%以上の燃料節減を達成し、航空機代替燃料(SAF)を併用することでカーボンニュートラルを2030年代中に達成する切り札とする意気込み。