帆船海運を専門とする仏Towt(Transoceanic Wind Transport)はこのほど、仏ピリウ造船所に帆走貨物船を発注した。2023年末の就航を予定する。契約額は未公表。
Towtはブルターニュ地方フィニステール県で2011年に起業。1年半前より、ノルマンディ地方のルアーブル港(セーヌマリティム県)を主な本拠としており、通常の帆船を貨物船として用いて、「Anemos」のブランドの下で、脱炭素海運サービスを提供している。ピリウに発注したのは、2本マスト(81メートル)、セイルの面積が2500平方メートルの大型帆船で、貨物船ネイティブで設計された。1回の航行につき1100トンを輸送可能で、年間320日の航行で2万トン程度を輸送できる。環境配慮に敏感な、オーガニックのワイン・スピリットのメーカーが主な顧客となる。入港及び出港時にはエンジンを用いて航行するが、全行程のうち90-95%はセイルのみで航行し、年間で3000トンの二酸化炭素排出量の節減を実現する。ラテンアメリカ、北米、さらに上海向け(パナマ運河経由)と、3大陸を結ぶ航路に就航する。北米航路は所要時間が14日間で、乗客(最大12人)も乗せて追加収入を得る構想となっている。
ピリウは、ハルをルーマニアの傘下造船所で製造し、擬装はコンカルノー拠点(フィニステール県)で行う。Towtは2026年までに4隻の建造を計画している。