地域圏議会選:マクロン大統領とルペンRN党首の大統領選戦略にほころびも

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20日に行われた地域圏議会選挙の第1回投票では、棄権率が66.7%と記録的に高い中で、極右政党RNが顕著に後退するという予想外の結果になった。マクロン大統領のLREM党も、多くの地域圏で決選投票に残れず敗退し、足元が危ういことが改めて露呈した。マクロン大統領とRNのマリーヌ・ルペン党首の双方とも、2022年の大統領選挙は前回と同様に2人の対決になると判断し、それぞれその準備を戦略の要に据えていたが、第1回投票の結果は、そのような対決の構図が自明ではないことを示しており、両陣営とも動揺が広がっている。
マクロン大統領は21日には、パリ市内の老舗百貨店サマリテーヌの新装開店式典に出席するなど予定の公務をこなし、選挙結果についてのコメントには応じなかった。しかし、LREMの党内では戦犯探しの議論も浮上しており、選挙後の内閣改造でカステックス首相の進退が問われる可能性も取り沙汰されている。
これとは対照的に意気が上がっているのが、保守陣営内で大統領選挙への出馬を狙っている有力者で、地域圏議会選挙における良好な結果を実績に掲げて弾みをつけたい考えとみられる。出馬意志を表明済みのオードフランス地域圏ベルトラン議長の場合、極右RNに大きく差をつけ、また、LREMの決選投票進出を阻むという成果を得ており、第三の男という地位を固めることに成功した。イルドフランス地域圏(パリ首都圏)のペクレス議長も有利に決選投票へ駒を進めた。2人とも、共和党を離脱済みであり、共和党の支持を取り付けることが課題となる。共和党内では、オーベルニュ・ローヌアルプ地域圏のボキエ議長(共和党の元党首)がやはり再選を確実にしており、党内で主導権を取り戻す動きに出る可能性がある。