政府は、企業における男女平等を推進するための尺度について、抜本的な改正を行う方針を決めた。欧州連合(EU)の指令に即した尺度に改める。5月21日に関係者らを集めた協議を開始し、法令案の策定を進める。2027年より新尺度に移行する。
現行制度は2019年に導入された。5つの基準(男女の報酬格差、年次賃金改定における男女の格差、昇進の格差、出産休暇からの復職時の賃上げの有無、高額報酬者に占める女性の比率)について、毎年企業に報告を義務付けるというもので、現在は従業員数50人以上の企業が対象となっている。結果は100点満点の評点の形でまとめられ、最低減未達の企業には、社名公表などの罰則が適用される。
現在は全企業の評点が88.5点まで上昇しているが、改善のペースは鈍く、男女の賃金格差はまだ大きい。EU指令に基づいた新基準は全7項目となるが、うち、賃金格差の詳細な把握に対応している6項目は、DSNと呼ばれる企業のデジタル申告義務のデータに含まれているため、別途申告をする必要がなくなり、企業側にとっては手続きの簡素化になる。最後の7つ目の項目(職種別の賃金格差)については、毎年の申告が別途必要になるが、従業員数50-250人の企業については、3年ごとの申告(初回が2030年)とすることが認められる。
5%を超える格差がある企業は、正当な事由を挙げることができない限りは、罰金徴収の対象となる。昇進の格差については、EU基準には含まれていないが、労使の合意が成立するなら、法案に別途追加される見通し。