仏財政収支の問題は専ら支出に由来

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仏経済紙レゼコーは5月14日付で、仏財政赤字の問題の大部分は社会保障会計にあるとする記事を掲載した。財政問題の権威という触れ込みの団体FIPECOの分析などを引用しつつ論じた。
フランスでは2023年に公的支出の対GDP比が57%に上ったが、これは欧州連合(EU)の平均を8ポイント上回っている。フランスでこの数値がEU平均まで下がったとすると、単純計算で2260億ユーロの支出減が実現し、財政収支は黒字に転じる。フランスの場合、社会保障会計の支出がGDP比で33%近くに上り、EU平均の25%強と比べて大きい。公的支出のEU平均との格差の73%は社会保障に由来している。EUとの格差という点で最も大きいのが年金で、年金支給の負担は対GDP比で14.5%と、EU平均より3ポイント近く高い。保健関連の支出は対GDP比で11.7%となり、EU平均の10%よりやはり高い。このほか、EUとの格差は、防衛が0.5ポイント、教育が0.5ポイント、失業保険が0.4ポイントなど、いずれもEU平均よりも高めになっている。
公的支出のEUとの格差は、過去30年間ではほぼ3倍に拡大したといい、財政収支の改善において、支出面での調整は不可避になっている。