美術品取引の付加価値税(VAT)、税率20%に引き上げか

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

美術品の売買に係る付加価値税(VAT)が引き上げられる可能性があり、業界の間で懸念が広がっている。
フランスでは、美術品の売買に係る付加価値税(VAT)には5.5%の軽減税率が適用されている。これは欧州連合(EU)加盟諸国中で格段に低く、このためにフランスがEU域外からの美術品の輸入の足場として用いられることが多い。過去20年間で世界の美術品取引に占めるフランスのシェアは、3%から7%へと上昇しており、フランスに財団組織や重要な美術品の個人コレクションが集まる要因の一つになっている。ただ、2022年4月のEU指令により、2025年年頭から、通常税率20%の適用が義務付けられる可能性があることが報じられ、業界は大きく動揺している。
アタル予算担当相は急遽、業界関係者らを迎えて、「フランスの美術品市場を危険に陥れたり、購入者の意欲を妨げるようなことはしない」と約束。経済省は3日には、5.5%の税率維持を可能とするオプションを含めて検討を進めると発表。今夏までに関係者らと協議を進めて、今秋に提出する予算法案に盛り込む方針を示した。