ビベンディ分社化・上場、パリ高裁が上場許可のAMF決定を取り消し

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

メディア大手ビベンディの分社化・上場について、パリ高裁は22日、計画を認めたAMF(仏金融市場監督機関)の決定を誤りとする判決を下した。承認決定の再審査を命じた。
ビベンディはボロレ・グループの傘下。分社化・上場計画は、グループを構成していたカナルプリュス(有料テレビ)、ハヴァス(広告)、アシェット(出版)を分社化して3社をそれぞれ上場するというもので、去る12月に実行された。これら企業を切り離したビベンディは引き続き上場が継続された。3社の株式はビベンディの株主に分配された。ビベンディ本体へのボロレ・グループの出資率は29.9%と、TOBをかける義務が生じる30%ラインを上回らない水準に維持されたが、上場3社については、30%を超える出資率での上場となった。
この分社化・上場について、ビベンディの少数株主であるアクティビスト・ファンドのCIAMが、株主の利益に反すると主張し、11月22日の時点でパリ高裁にAMFの許可の取り消しを求めて提訴していた。AMFは、ビベンディへのボロレ・グループの出資率が30%を下回っていることを理由に、ボロレがビベンディを支配していないと認定し、分社化のような重要決定を下す上で、TOBを実施する義務は生じないと判定していた。これに対して高裁は、CIAMの主張を認めて、ボロレ・グループが事実上の支配権をビベンディに対して行使しており、TOB実施は免除されないとの判断を示した。
高裁の判決が今後、どのような効果を発揮するかは即断できない。既に実施された分社化・上場を白紙に戻すことはできないが、CIAMの側では、分社化を経て時価総額が目減りし、株主が損失を被ったと主張し、その補償(80億ユーロとの数字を挙げている)を実施するよう要求している。