細胞培養で皮革を製造する仏ベンチャー企業Faircraftはこのほど、1500万ユーロの資金調達を完了した。うち、出資によらない調達は300万ユーロを占めた。米国のKindred Ventures、オランダのSake Bosch、英国のEntrepreneur First、BPIフランス(公的投資銀行)などが資金調達に協力した。2022年の初回調達時より出資したAFI Venturesも再び出資した。
Faircraftはパリ14区に本社を置き、2021年に発足した。生体から抽出した細胞をバイオリアクター内で分裂させた後、培地上で培養する。4週間後にA3用紙の大きさの皮革が得られる。皮なめしの工程は通常の皮革よりも容易に行うことができ、その環境負荷は、10万平方メートルにつき通常製品比で10分の1程度で済むという。製造工程における最大のインプットはエネルギーだが、電源構成がフランスよりも不利であっても、炭素負荷は通常の皮革より小さくなるという。
現在は月間に数平方メートルを生産するが、今後は量産化が課題になる。3年後には最初の工場を開く計画で、生産コストを抑えるための自動化工程の確立が必要になる。既に高級ブランド数社と協力関係にあり、商品開発を通じた需要の確保にも取り組んでいる。