地デジテレビ局免許更新:当局機関ARCOMはC8とNRJ12の免許更新を認めず

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

仏放送行政監督機関ARCOMは24日、地デジ放送局の免許更新に関する決定を下した。C8(カナルプリュス傘下)とNRJ12(ラジオ局NRJグループ傘下)について免許更新を認めず、代わって新規参入者に免許を付与する決定を下した。
今回の免許更新は、2025年に期限切れを迎える15免許(無料局及び有料局)について審査された。建前上は更新が前提ではなく、新規参入者を受け入れて審査した上で、付与先を決める手続きが進められたが、既存局の免許更新が認められなかったのは、地デジ放送開始以来で前例がなく、決定は驚きを以て迎えられた。免許更新が認められなかった局のうち、C8はカナルプリュス・グループに属するが、最近では、シリル・アヌーナ氏の番組で放送事故が相次いでおり、8年間で合計750万ユーロの罰金処分を受けるなど黒星続きだった。カナルプリュスがボロレ・グループの傘下に入って以来、番組内容の右傾化を問題視する向きもあり、アヌーナ氏は極右の主張を一般に浸透させる上でのキーパーソンになった印象もあった。免許更新が認められなかったのはその辺りの事情も関係していると考えられる。ただし、同じく右傾化を批判されているグループ傘下のCNews(ニュース専門無料局)の方は、免許更新が認められた。他方、NRJ12については、収支が優れず、財政的な基盤がぜい弱だったことが、免許更新が認められなかった理由と考えられる。
これら2局に代わって、地方紙ウエストフランスの「OF TV」と、チェコ人実業家クレティンスキー氏が保有するメディアグループ「CMI」の「レエルTV」の2局への免許付与が決まった。前者は、都市部以外の地域に住むヤングアダルトを念頭に置いた生活情報等を配信する局として、後者は社会・歴史・科学・文化芸術、世界の5つのテーマでドキュメンタリーや討論、娯楽番組を放送する局として発足する予定。