STマイクロ、SiCパワー半導体の伊新工場に50億ユーロを投資

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仏伊半導体大手STマイクロエレクトロニクスは、伊シチリア島カターニア市に半導体新工場を建設することを決めた。50億ユーロを投資し、SiCパワー半導体を製造する新工場を2026年までに開く。SiCパワー半導体の製造を専門とする垂直統合型の工場は世界でもこれが初めてだという。
SiCパワー半導体は、電動化を進める自動車部門を中心に採用が広がっている。2023年の世界市場規模は27億ドルで、うち11億ドル(40%強に相当)はSTマイクロが稼いでいる。同社はカターニアとシンガポールでSiCパワー半導体を量産しているが、完全自動の新工場を欧州に整備し、需要の取り込みを図る。人工知能(AI)を活用して生産工程の最適化を推進し、競争力の向上を進める。2033年までに、200mmウェハの年間生産能力78万枚の達成を目指す。
投資額のうち20億ユーロはイタリア政府による国家補助が充当され、欧州委員会は域内の半導体生産振興の枠内でこの国家補助を承認した。欧州連合(EU)は、世界生産に占める欧州生産の割合を、現在の10%から20%に引き上げることを目標に定めている。