欧米的価値観の否定とグローバルサウスの台頭

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

ウクライナが苦戦している。米欧の支援にも疲れが見え、ロシアへの制裁もさほどの効果があがっていない。なにより、中国や途上国の多くがロシアによる侵攻を容認する立場を維持している。イスラエルも苦境に陥っている。ガザ地区に深く根を張るテロ組織ハマスを壊滅させることはおそらく無理なうえに、ガザでの軍事作戦に対する国際世論の風当たりも厳しい。米国の有名大学の学生がハマスとパレスチナ人を支持し、ユダヤ人を虐殺せよ呼びかけ、それを大学当局も容認するというショッキングな事態に発展している。こうした展開は欧米的な価値観の普遍性が否定され、いわゆるグローバルサウスの影響力が高まりつつあることの反映だろう。グローバルサウスというネーミングは誰が考えついたのか知らないが、なかなか秀逸で、あたかも新たな価値観を打ち出す新勢力が台頭したかのようだ。しかし、内実は独裁・汚職・腐敗、宗教的原理主義による支配、先進国や中国からの援助への慢性的依存体質、植民地根性にほかならない。筆者は世界の行く末を楽観も悲観もせずに達観したいと考えているが、闇があたりを覆いつつあるとの印象は強まっている。それでも年末に、来年は今年より少し良い年になってほしいと願うぐらいは許されるだろう。