仏サフランの買収案件にイタリア政府が拒否権発動

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仏サフラン(航空機エンジンなど製造)が米コリンズ・エアロスペースのアビオニクス事業部門の買収を計画している件で、イタリア政府は20日、買収対象事業のイタリア資産の買収に拒否権を発動することを決めた。重要部門企業の外資による買収への政府拒否権制度は、フランスを含む欧州の多くの諸国が採用しているが、欧州諸国企業による買収案件に適用されるのは異例。
サフランによる買収計画は去る7月に発表された。全部で欧州の8拠点(フランス、英国、イタリア)を18億ユーロで買収する計画で、対象事業の従業員数は3700人に上る。2024年後半に買収完了を予定していたが、イタリア政府により、イタリア資産(ミクロテクニカ名義の3拠点、売上高で買収対象全体の15%に相当)の買収に限り禁止された。イタリア政府は、国防上重要なイタリア国内の生産ラインの維持などにサフランが応じるという確証がないことを理由に買収を禁止した。この件では、ドイツ政府も、イタリア政府に対して、ユーロファイター戦闘機等の交換部品の調達に懸念が生じる恐れがあるとする見解を伝えていたという。
サフランは、事前にイタリアとドイツの両政府から接触がないまま禁止決定を受けたことに驚いているとコメント。買収計画は断念せずに関係各当事者らと協議を重ねて次の段階をどうするか決めると説明している。