ラグビーW杯の慰め

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

フランス開催のラグビーW杯が開始した。筆者はラグビーという競技に親しみがないので、試合をTV観戦するどころか、結果すら追っていないのだが、隣人たちが画面を食い入るように見つめている様子から判断する限り、これは今夏の重要イベントであるに違いない。もちろん、アフリカでは軍事クーデターが相次いで、フランスが旧植民地からいよいよ追放されつつあり、やはり旧植民地のモロッコでは大震災が起きて2000人以上が死亡しているのに、旧宗主国フランスが申し出た救助支援は受け入れられないままになっており、こちらも近年の外交関係の悪化が一因かと言われている。アフリカにおける影響力と足場をどんどん失いつつあるフランスとしては、呑気にラグビーW杯など開催している場合ではない、という見方もありそうだが、それはそれ、これはこれで、スポーツイベントを満喫するのが今夏の猛暑で心身ともに疲れ切ったフランス人にとっては正しい自己保存の手段かも知れない。来年にはパリ五輪も控えている。アフリカにおけるフランスのプレゼンスは今後縮小する一方だろうし、そのことに苛立つフランスの政界やメディアの反応は植民地主義的パターナリズムの名残であって、決して褒められたものではないが、心情的に分からなくもない。斜陽気味のフランスだが、せめてW杯で活躍して、少し慰めになってくれたらいいな、と心の片隅で思う。