少年射殺事件に伴う暴動騒ぎ:マクロン大統領、ドイツ公式訪問を延期

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パリ西郊ナンテール市で6月27日に発生した警官による少年射殺事件をきっかけに、全国で暴動騒ぎが続いている。7月1日から2日にかけての夜にも、前日までよりは下火になったものの、5日連続で騒乱が発生した。
当初は、事件があったパリ郊外に騒乱が集中していたが、その後は大都市を中心に全国に広がった。花火を投擲物代わりに使う治安部隊への攻撃や、警察署のほか、市役所や学校などの公共施設を狙った破壊や放火、公共交通機関(バス、トラムウェイ)を狙った放火、さらに、商店を狙った破壊や略奪などの被害が相次いだ。暴動に加わっているのは主に若年者で、中学生のような低年齢の子どもも多い。逮捕者の3分の1は、低年齢層を含む未成年者だといい、政府や市民団体等は、保護者らに対して、未成年者を夜間に外出させないようにして、保護者としての責任を全うするよう呼びかけている。SNS上で破壊や略奪の動画を投稿する若者も多く、この一連の騒動が「祭り」として捉えられていることをうかがわせている。
暴動騒ぎは政治的な論争も引き起こしている。左翼政党「不服従のフランス(LFI)」を率いるメランション氏は、鎮静化を呼びかけているものの、暴動騒ぎを非難することは拒否しており、そうしたメランション氏の態度を疑問視する声は、左派勢力内からも上がっている。その一方で、極右政党RNは、非常事態宣言の発令や軍隊の投入などを声高に要求し、マクロン政権の対応に欠陥があると攻撃している。
マクロン大統領は、7月2日よりドイツを国賓として公式訪問する予定だったが、状況の重大性を踏まえてこれを延期することを決めた。3ヵ月前にも、英国のチャールズ国王の訪仏が、年金改革反対のストの余波で延期になっており、今回も再び、重要な外国訪問が国内情勢により実行できなくなった。マクロン大統領は、年金改革に伴う混乱を経て、「100日間で再スタートを切る」と宣言したが、その100日間が終わり、総括の段階に差し掛かる中で、ちょうどこの暴動騒ぎに見舞われた。対外的な評判の低下に加えて、国民の支持回復に向けた取り組みが足場を掘り崩されたことになり、打撃は大きい。