ナチスに銃殺されたマヌシアン氏、パンテオン入り決まる

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マクロン大統領は18日、レジスタンスの闘士でナチスドイツにより銃殺されたミサク・マヌシアン氏とその夫人のメリネ・マヌシアン氏をパンテオンに改葬することを決めたと発表した。銃殺された日からちょうど80年目を迎える2024年2月21日に式典が行われる。
パンテオンは、共和国の偉人を祀る霊廟。外国系で共産党員のレジスタンス闘士がパンテオン入りするのはこれが初めて。マヌシアン氏はアルメニア系で1906年生まれ。アルメニア人大虐殺を生き残り、1925年にフランスに移住した。詩人を志す傍ら、労組CGTの組合員から共産党に入り、1943年にレジスタンスの活動を始めた。夫人が連絡役を務め、FTP-MOI(移民労働者スナイパー・パルチザン)と名乗るグループに加わり、ナチスドイツを狙ったサボタージュを展開した。1943年11月に捕えられ、23人の闘士(うち21人はFTP-MOI所属)と共に、パリ西郊外モンバレリアンの丘で1944年2月21日に銃殺された。
マクロン大統領は18日、シャルル・ド・ゴールが抵抗政府の樹立を宣言した「6月18日のアピール」(1940年)の記念式典をモンバレリアンで行い、この機会を利用してマヌシアン氏のパンテオン入りを発表した。FTP-MOIに加わっていたロベール・ビランボム氏(97)へのレジオンドヌール勲章授与も同日に行われた。移民問題が何かとクローズアップされる中で、外国系のレジスタンス闘士のパンテオン入り決定には、開かれた姿勢を強調する政治的な意図がある。この決定には、右翼の論客エリック・ゼムール氏が、「外国人だけがフランスのために戦ったかのような偽りの印象を与える操作だ」と非難したほかは、おおむね賛同の念が表明されている。