仏政府、2023年に歳出1%を追加凍結

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仏政府が追加の歳出凍結を計画している。ルメール経済相が23日に認めた。
2023年予算における歳出の1%相当が凍結される。人件費を除くすべての予算が1%凍結の対象となる。金額では18億ユーロに相当する。
政府はこれより前に、5%の予算凍結を決定していた。追加分も含めて合計で100億ユーロ相当が凍結される計算になる。ルメール経済相はこの凍結について、2023年の財政赤字の対GDP比が確実に5%未満にとどまるようにするための措置だと説明した。
経済成長が低めで推移する中で、財政健全化の行方には黄信号が灯っている。フランスの財政赤字の対GDP比は、2022年に4.7%まで低下した後、2023年には4.9%にまで上昇する見通しとなっている。政府は中期財政見通しの中で、2027年までに同比率を段階的に引き下げ、2.7%にまで戻して欧州連合(EU)の基準である「3%以内」を達成するとの展望を示しているが、その実現可能性について疑問視する向きもある。格付け会社のフィッチは去る4月末に、年金改革の反対運動に伴う社会的な緊張の高まりを理由に、仏国債の格下げを決定。S&Pが6月5日に発表する格付け見直しでどのような判断を示すかが当面の注目ポイントとなっている。長期金利上昇の圧力の中で、政府として堅実な財政運営の方針を示すことが求められており、歳出の追加凍結の決定は信頼回復の狙いが込められている。