カイユボットの絵画、オルセー美術館入り

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印象派の画家、ギュスターヴ・カイユボット(1848-94年)の絵画「舟遊び」がパリのオルセー美術館入りした。1月31日に一般公開が始まった。
カイユボットは資産家で、後に印象派と呼ばれる画家たちのメセナとして、またコレクターとして活躍した。多彩な才能を示し、自らも優れた作品を残し、1876年の第2回印象派展にはこの「舟遊び」を含む35点の絵画を出品した。45才で1894年に死去し、所有していた印象派の画家の作品は国に寄贈され、オルセー美術館の所蔵品の重要部分をなしているが、自身の作品は寄贈の対象としなかったことから、作品が人目に触れる機会も少なく、評価が遅れたという経緯がある。「舟遊び」は、カイユボットの兄弟の子孫が保有を続けていたが、2020年に数点の作品と共に売りに出された。政府は30ヵ月に及ぶ輸出の暫定禁止措置(1993年の法律に依拠する「国宝」指定措置)を発動し、国による取得に着手。高級品大手LVMHがメセナとして4300万ユーロを拠出し、このたびオルセー美術館入りが実現した。この額は、「国宝」指定措置の導入以来の171件の買収の中で最大規模。
「舟遊び」は国内の複数の美術館において巡回展示が予定されており、手始めにリヨンで展示される。また、来年2024年はカイユボットの死去130周年に当たり、オルセー美術館は、米国のゲティ美術館(ロサンゼルス)及びシカゴ美術館と共同で特別展を開催する予定。