メディアトール薬害事件、控訴審裁判が開始に

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メディアトール薬害事件の控訴審裁判が1月9日、パリ地裁で始まった。6ヵ月の予定で公判が行われる。
メディアトールは、セルビエ社が製造していた糖尿病治療薬だが、食欲抑制剤として広く転用されていた。同薬には、心臓弁膜症と肺動脈性肺高血圧症を併発するリスクがあり、食欲抑制剤としての乱用で、数百人程度が死亡したものと考えられている。パリ地裁は第1審で、セルビエ社が1995年より患者に死亡のリスクがあることを知っていながら、販売を継続したと認定し、セルビエ社とその子会社等に対して、業務上過失傷害及び過失致死と欺瞞的商行為で有罪判決(271万8000ユーロの罰金刑)を言い渡していた。事件当時の経営幹部であるセタ被告人も、執行猶予付き禁固4年と9万600ユーロの罰金刑を言い渡されていた。その一方で、パリ地裁は、「詐欺」(メディアトールの払い戻しに応じていた健康保険公庫に対する詐欺)と「販売許可の不正取得」の容疑については、証拠不十分と時効の成立を理由に、無罪とする判決を下していた。検察側はこれらの無罪判決を不服として、これらの点に限り控訴。これを受けて、セルビエ社とその子会社等、及びセタ被告人も、判決を不服として控訴することを決めていた。被告人らは、業務上過失傷害及び過失致死など他の罪状も含めて、控訴審の機会に争う方針を明らかにしている。