現金決済が大幅に後退、コロナ危機を経てキャッシュレスが定着

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仏日刊紙ルフィガロは12月6日付で、新型コロナウイルス危機をきっかけにフランスでは現金決済が大幅に後退したと報じている。
新型コロナウイルス危機時には、衛生上の観点から、非接触型決済を用いる人が大きく増えた。上限額の引き上げなどの措置も利用拡大に貢献した。そうした現金離れの流れがその後も定着し、現金の利用が大きく後退したという。非接触型決済は金額ベースで、2022年1-11月に70億ユーロとなり、2018年の20億ユーロから大きく増えている。店舗におけるカード決済の57%が非接触型であるという。
ルフィガロ紙が引用したフランス中銀による2020年に実施の調査によると、商店や個人間のやり取りにおいても、現金決済は件数では相変わらず大多数であるものの、金額ベースではその割合は25%まで後退しているという。同じフランス中銀の調査では、現金を買い物で優先すると答えた人は、フランスではわずかに9%で、ユーロ圏内でも最もキャッシュレス化が進んだ国であるという。スマホ決済や、個人間の資金のやり取りに使えるサービス(Paylib、Paypal、Lydiaなど)の利用も拡大している。
現金の利用が減ったために対応を迫られている方面も多い。ルフィガロ紙によれば、物乞いの収入は2分の1近くに減ったという。銀行は利用が減少しているATMの合理化に着手している。現金輸送業によるATM運営請負業への進出といった動きもある。造幣局(モネドパリ)では、2000年には硬貨鋳造が売上高の70%を占めていたが、現在では、国内向けに限ると25%、輸出を含めて50%まで後退。記念硬貨やメダルの鋳造などの別事業で収入を補っている。個人商店や自営業などでは、現金収入が減り、所得隠しが難しくなるという打撃をひそかに受けている。