仏内務省下の情報機関DGSIは21日、ロシアの諜報部員が三行広告サイトを通じて有望な若い研究者やエンジニアに近づいた数件の事案について公表し、警戒を呼びかけた。
これによると、こうした事案は、「Leboncoin.fr」などの三行広告サイト上の家庭教師提供の広告に諜報部員が応募することから始まる。諜報部員側は、研究部門や官庁などに食い込むため、将来有望な人材を見定めてアプローチし、身分を隠して、職業上の理由から知識を深める必要があるなどと理由をつけて、科学、経済、語学などのレッスンを依頼する。それを入口にして、最初はごく一般的な内容の報告の作成などを依頼し、少しずつハードルを高めて、報酬額を引き上げ、立場上入手が可能な機密情報の漏洩につながるミッションをさせてゆくのだという。DGSIは、こうしたエージェントの特徴として、次回の会合の手配をその場でするなどして、連絡先をあまり教えない、会合は自宅や職場ではなく必ずレストランやカフェなどを利用する、常に現金払いである、などを挙げており、怪しい兆候があったらDGSIに相談するよう呼びかけている。
ルモンド紙が挙げているいくつかの実例によると、諜報部員の多くはロシア大使館の館員としてフランスに入り、国籍や身分を偽ってターゲットに接触する。エリート養成校の学生などの場合には、高級官僚として採用されるよう後押しし、成功報酬を約束するようなケースもある。大使館員という身分から、事件が発覚しても逮捕できず、国外退去処分となる。DGSIの側は、摘発を経て国外退去処分を取り付ける場合から、より緩やかな「警告」に至るまで、事態の軽重に応じて様々に対応しているという。