逃亡のイスラム原理主義導師イキウセン容疑者、ベルギーで逮捕

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ベルギー警察は9月30日、フランスに居住していたモロッコ人のイスラム原理主義派導師ハッサン・イキウセン容疑者を逮捕した。フランス政府は同容疑者をモロッコに送還する予定だったが、同容疑者は身柄確保前に逃亡し、仏政府は国際逮捕状を発行して行方を追っていた。ベルギー警察はモンス市内に潜伏中だった容疑者を逮捕した。
イキウセン容疑者は58才、フランスに長年にわたり居住しているが、仏当局は要注意人物(いわゆるSファイル)として以前からマークしていた。ダルマナン内相は去る7月末に、共和国の価値を攻撃し、政教分離に反するヘイトスピーチを繰り返していることを理由に同容疑者の国外退去処分を決定、同容疑者は異議申し立ての行政訴訟を提起したが、行政最高裁(コンセイユデタ)が8月30日に訴えを棄却する判決を下した。同日中に仏当局は容疑者の身柄確保を試みたが、容疑者は既に行方不明となっていた。
逮捕は実現したものの、今後の行方がどうなるかは不明な点も多い。イキウセン容疑者はベルギー当局に対して異議申し立てを行うことができ、その場合は決着がつくまで数週間を要する。フランスへの身柄引き渡しが実現したとしても、本国のモロッコ政府が、一旦は認めたイキウセン容疑者の帰国を撤回しており、モロッコ政府の再翻意が送還実現には必要となる。フランス当局は、イキウセン容疑者を、逃亡の容疑(イキウセン氏が「容疑者」であるのは今のところこの件に限られる)で起訴することもできるが、政府の当初の目論見とは異なる責任追及の切り口しか残らないことになる。