9月23日付の仏レゼコー紙によると、欧州委員会は、EU(欧州連合)の87の漁場において、海底の生物多様性を保護するために、水深400メートルを超えるトロール漁を禁止する措置を近く施行すると警告した。この措置はEU各国、漁業団体や環境NGOなど関係者との2年間の協議を経て採択された。EU官報に掲載されてから3週間後に施行される。
この措置の対象となるのはアイルランド、フランス、ポルトガル、スペインの沖合の87水域で、その広さは合わせて1万6400平方キロメートルに及ぶ。大西洋北部で操業するトロール船の大半がこの措置の影響を受けることになる。なおEUでは2016年に海洋生態系の回復を目的に、水深800メートルを超えるトロール漁は禁止済み。
EUのトロール漁などの従事者1万人が加入する団体(European Bottom Fishing Alliance)は、トロール漁が海洋生態系に及ぼす科学的証拠が欠けており、87漁場からの締め出し措置が及ぼす社会経済的調査もなされていないと抗議した。
なお水深400メートルを超えるトロール漁を禁止する措置にはフランス政府も賛成を表明したが、導入されると、フランス最大の漁業地域であるブルターニュは大きな打撃を受ける。