仏労働市場で人手不足が鮮明に

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仏政府は9月7日の閣議で、失業保険の制度改革に関する法案を閣議決定する。労働市場がひっ迫する状況においては、失業手当の給付額や給付期間を減額・短縮化し、失業者に就労を促す措置が盛り込まれる。政府はこの改革を、5年後に完全雇用を実現するとの目標の達成に向けた手段として準備した。日刊紙のルフィガロは7日付で、足元で深刻化する求人難を緩和する効果も期待されると報じた。
ルフィガロ紙が引用した数字(出所不明)によると、4-6月期に満たされなかった求人数は35万5400件に上り、この数字は、新型コロナウイルス危機直前の2019年10-12月期と比べて69%多いという。コロナ危機からの回復の局面で、企業の活動が一斉に活性化したことで、一気に人材の需要が高まり、求人難が生じた。ウクライナ危機に伴う景気減速で労働市場の逼迫はある程度緩和されると予想されるものの、特定の業種や職種においては人手不足は構造的な問題に由来しており、その早期の解消は望めないものとみられている。例えば、外食・宿泊業は、賃金・待遇面で誘致力に欠けることから、人手不足が恒常化している。旅客機の操縦士のように、人材育成が需要回復に追いついていない業種もある。有資格者の不足は、先端技術部門にとどまらず、例えば屋根職人から保育士に至る幅広い分野で表面化している。農業部門では、季節労働者として外国人労働力への依存を強める傾向がうかがわれる。また、様々な部門でシニア層の労働力をつなぎとめることを目指す動きも見受けられる。王道は賃金引き上げになるが、これがインフレ亢進の中で人件費をさらに押し上げる要因にもなりうる。