エアバス、軍用輸送機A400Mの空中消火バージョンをテスト

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

エアバスは、軍用輸送機A400Mを空中消火用の航空機として用いるためのキットを開発した。数日前にスペインで行った実地テストが成功した。
この夏には、スペインを含む南欧諸国を中心として山火事が多発している。温暖化を背景として火災の規模が一段と大きくなり、被害も拡大する傾向が見受けられる。エアバスはこれを踏まえて、A400Mによる空中消火を可能にするソリューションの開発に着手、今回、スペインの資金協力も得て、初めてのテストを行った。
具体的には、10トンのタンク2基がA400Mに搭載された。テストでは、45メートルの高度から、時速230kmで飛行しながら散水が行われた。一般的な空中消火専用の飛行艇であるボンバルディアCL-415は6トンが限度であり、散水量は大きい。ただし、着水してごく短時間に注水が可能なCL-415とは異なり、A400Mは着陸して、ポンプを利用して注水を行わなければならず、これに5分間が必要であるという。それでも、A400Mは、舗装のない場所でも着陸が可能で自由度は高く、また、37トン程度までタンクも増設が可能とみられている。
実用化に至るまでには、夜間飛行の試験などクリアすべき行程を残している。エアバスは、需要国の決定次第だが、2023年夏の運用開始は可能だとみている。