モビリティ・シェアリング、新型コロナ感染拡大の影響は今のところなし

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フランスでは新型コロナの感染拡大に伴い、年明けからリモートワークを週3-4日とする措置が導入されたが、今のところキックスケーターや自転車のシェアリングサービスの利用者への影響はあまり出ていない。パリのベリブ(自転車シェアリング)では、1月6日の利用回数は延べ8万4000回超と12月並みの水準を維持した。パリでキックスケーター事業を展開する3社(DOTT、Tier、Lime)のうち、Limeは、他の都市における事業も含めて、利用回数に変化はないと証言している。唯一、Bird(主にマルセイユとボルドーで事業を展開)のみがわずかな減少を記録したと証言しているが、リモートワークの増加よりも悪天候が原因だとみられている。
その一方で、シェアリング事業者は、新型コロナを理由とする欠勤者の増加で、キックスケーターおよび自転車の充電と修理に対応できなくなることを懸念している。ベリブの保守センターでは100人程度の従業員のうち病欠者は先週で7人と、通常の1-2人を上回った。病欠者が全従業員に占める割合は、パリのDOTT(キックスケーターのほかに自転車のシェアリングサービスも提供)で15%、Limeでも10%に達している。
新型コロナの感染拡大が懸念されるものの、欧州9ヵ国で事業を展開するDOTTは、オランダを含む3ヵ国に参入する計画を維持している。Limeが2021年7-9月期に黒字を記録したことからもわかる通り、シェアリング事業者のビジネスモデルは確立しつつある。資金調達も順調で、去る12月にスウェーデンのVOIは1億1500万ユーロを調達。独Tierはこの2年間で4億5000万ドルを調達している。Birdは11月にSpac(特別買収目的会社)を通じてニューヨーク市場への上場を果たした。