アスコバル、事業の一部をドイツに移転か

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アスコバル(鉄鋼)のサンソーブ工場(ノール県)の労組は17日、同社の親会社である独ザールシュタール社が、工場の4割相当の生産を一時的に独国内に移す方針を固めたと発表した。電気料金の上昇を受けて、ドイツ国内の石炭稼働の高炉生産に切り替えるという。労組側は、生産移転が恒常化されることを特に警戒している。ザールシュタールの広報担当はこの件について、いかなる決定も下っていないと説明。エネルギー価格の高騰の影響を緩和するためあらゆる一時的な選択肢を検討しているのは事実だが、アスコバル社を通じた「グリーン鉄鋼」の製造を発展させる戦略に変更はないとコメントした。
アスコバルのサンソーブ工場は電気炉を採用し、レールに加工される鋼材を製造している。従業員数は270人。英リバティスチールの傘下だったが、同社の経営難を経て去る8月にザールシュタールによる買収が決まっていた。フランス政府はこの買収を支援するために、買収前にアスコバルに2000万ユーロを融資。地元のオードフランス地域圏も、1200万ユーロに上る債権の一部棒引きに応じていた。地元ノール県選出の下院議員で、大統領選への出馬を予定するルーセル氏(共産党)は、ルメール経済相に対してただちに介入するよう呼びかけた。