新型コロナウイルスの感染再拡大、全国的に警戒水準に

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新型コロナウイルスの感染再拡大が明確になっている。過去1週間で、新型コロナウイルス感染症による新規入院患者数は14%、同じく集中治療室への入院患者数は12%、それぞれ増加した。
感染再拡大は、9月の新学年開始時に発生が懸念されていたが、その時には発生せず、遅れてこの10月末になって傾向が顕著になった。フランスでは、50才以上の人のうちワクチン未接種者が250万人を数え、うち80才以上の人は50万人に上っており、リスクが高い人の中に未接種者がかなりいることが、感染再拡大の背景にあると考えられる。10月28日時点で、集中治療室の入院患者のうち3分の1程度が60-69才となっている。ブースター接種の対象となる65才以上の人では、10月24日の時点で、63%(高齢者施設の入居者)から64%(非入居者)のみが3回目接種済みとなっており、この点でも改善の余地がある。この時期に拡大が目立ってきた理由としては、気温が下がる中で、予防行動が緩んできたことが背景にあると考えられる。季節性インフルエンザと同様の感染症として定着した可能性もある。
1日平均の新規感染者数(人口10万人当たり)は全国平均で警戒域である50人を再び超えた。全国では40程度の県で50人を超えている。10月15日に検査が一部有料化された影響により、新規感染者数は過小評価されている可能性もある。フランスでは現在、1日当たりの新規感染者数が5200人程度、同入院患者数が200人近くで、その比率は25分の1となっているが、英国ではこの比率は50分の1であり、これまでは両国は同様の推移を示してきたことを考えると、フランスでは明らかに小さく、過小評価の疑いがある。なお、英国では、デルタ株に由来する新変異種AY.4.2の感染増加が目立っており、「VUI-21OCT-01」の名称の下で監視対象に指定された。