ルモンド紙は10月16日付で、ボロレ・グループがアフリカの港湾事業の売却を検討していると報じた。モルガン・スタンレーを幹事行に選定して買収者探しを始め、海運大手の仏CMA CGM、デンマークのマースク、さらに港湾運営のDPワールド(ドバイ)、中国のコスコシッピング(中国遠洋海運集団)などが関心を示しているという。ボロレはこの報道についてコメントに応じていない。
ボロレ・グループは1822年に発足したブルターニュ地方の製紙工場に端を発するが、現在のトップであるバンサン・ボロレ氏の代になって、大手のコングロマリットに成長した。アフリカ港湾事業は、ボロレ氏が財を成す足場となった事業であり、42港湾に進出、中部・西部アフリカの16港湾のコンテナターミナル、ローロー船ターミナル7ヵ所、鉄道輸送等の資産3件などを展開している。アフリカ事業を束ねるボロレ・アフリカ・ロジスティクスは2020年に21億ユーロの売上高を達成、評価額は20億-30億ユーロとされる。アフリカを含む世界の港湾・物流事業は年商37億ユーロに上る。
ボロレ・グループのアフリカ事業には灰色のイメージもある。仏司法当局は2012年より、ロメ港の事業などを巡る汚職容疑の捜査を進めており、ボロレ氏は2021年2月の時点で、事実関係(系列会社である広告会社アバスを通じてトーゴとギニアにおいて大統領選挙のキャンペーンに無償で協力し、見返りに港湾事業の権益を得ていた)を認めて司法取引を請求したとされている。訳あり資産の買収に買収候補者がひるむことも考えられる。