大統領選に向けてテレビ討論:ゼムール氏とメランション氏が舌戦

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

来年4月に行われる大統領選挙に絡んで、23日には2つのテレビ討論が行われた。
ニュース専門地デジ局BFM TVは、右翼の論客エリック・ゼムール氏と、左翼政党「不服従のフランス(LFI)」のメランション下院議員のテレビ討論を放送した。メランション氏は大統領選挙の常連で、出馬意志を表明済みだが、ゼムール氏はまだ正式表明をしていない。出馬すれば、既成政党に属さない新鮮さを武器に、保守から極右に至る有権者層を掘り崩してかなりの得票を達成する可能性がある。両者の間には、反エスタブリッシュメントの志向など共通点も多いが、討論においては、移民・治安政策を巡り正反対の意見をぶつけ合う場面が目立った。メランション氏は「フランスのクレオール化」を歓迎する議論を展開し、ゼムール氏は移民流入からフランスを守らなければならないと訴えた。
国営テレビ局のフランス2は、保守系のペクレス・イルドフランス地域圏(パリ首都圏)議長とダルマナン内相の討論を放送した。ペクレス氏は、保守野党の共和党を離れて独自グループを率いているが、大統領選挙において共和党の公認の獲得を、他の候補らとの間で争っている。ダルマナン内相もかつては共和党に所属し、マクロン大統領の支持に転じた。大統領選挙への出馬はもとより予定していないが、マクロン政権を擁護しつつ、一歩先のステップアップを狙っている。ペクレス氏は討論の機会に、マクロン政権を「左寄り」と位置付けてその成果を批判しつつ、自らの右派としての立ち位置を強調。政権を担える政策通というイメージを与えるべく務めた。共和党は25日の党大会で公認候補の選出方法を決定するが、ベルトラン・オードフランス地域圏のベルトラン議長が本命、ペクレス氏が対抗馬という構図が強まっている。