保守野党の共和党による公認候補指名を経て、大統領選挙の候補者がほぼ出揃った。あとは出馬が確実視されるマクロン大統領を残すのみとなった。5日には2候補がそれぞれミーティングを開いた。
右翼の論客エリック・ゼムール氏は、パリ郊外ビルパントの見本市会場で、立候補表明後で初の集会を開いた。1万人を超える支持者を集めた。ゼムール氏はこの機会に、新政党「ルコンケット(国土回復)」の設立を発表。イスラム勢力によるフランスの侵略に抵抗するなどと述べて、自らを反システムの候補だと位置づけ、政府に加えてメディアを攻撃の対象とした。政策面では、減税とフランスの「再工業化」を挙げたが、詳細は示さなかった。集会の際には、会場に紛れ込んだ人種差別反対の活動家が抗議行動を展開したところ、観衆に暴行を受けるという一幕もあり、会場付近での小競り合いも発生した。ジャーナリストが追い出される場面もあった。
左翼政党「不服従のフランス(LFI)」のメランション候補も同日、パリ副都心ラデファンス地区で集会を開いた。3000人程度の会場を手配し、5000人を集めるという演出で勢力を示した。メランション候補はこの機会に、極右RNのマリーヌ・ルペン候補とエリック・ゼムール候補を陰謀論の排外主義勢力として批判し、またマクロン大統領と共和党のペクレス候補をフランスを破壊する自由主義者として批判して、社会福祉と左派の理念を守る唯一の候補として自らを位置づけた。職業高校・大学の学生に対する月額1000ユーロの手当の一律支給、定年年限の引き下げといった公約を掲げ、マクロン大統領が予告した国内の原子炉建設計画も批判した。