仏政府、英国とEUの国境管理合意実現を求める

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フランスのボーヌ欧州閣外相は8月25日、ニュース専門テレビ局CNewsとのインタビューの中で、フランスと英国の間の国境管理体制を強化することが必要だとする認識を示した。英仏海峡のフランス側では、英国への渡航を目指す不法滞在者が集まり、社会問題となっている。英国とフランスの間には、2010年に結ばれた協定があり、管理体制の協力について定めているが、閣外相は、英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、EUと英国の間で、この問題に関する新たな合意が必要になったとの認識を示し、フランスが費用負担を強いられるのはおかしいとも述べた。
最近では、英国への渡航をほう助する犯罪団の動きも活発になり、従来の中心地だったカレー市にとどまらず、より広い地域から発し、より強力な手段を利用した不法渡航の試みも増えている。アフガニスタンをタリバンが掌握したことに伴い、難民の流入はさらに加速する恐れがあり、英国渡航を阻まれてフランス側に吹き溜まる難民がさらに増加する可能性もある。7月末には、フランス政府はFRONTEX(欧州対外国境管理協力機関)に支援を要請している。
フランス政府は具体的には、英仏協定を補完する形で、英国とEUの間で新たな取り決めを結ぶことを望んでいる。特に、英国で難民申請を拒否された者がフランスにのみ移送されることがないようにすることを望んでいるという。他方、英国政府にとって移民問題はEU離脱の決め手となった重要案件でもあり、対応は容易ではない。英国政府は、不法入国の難民申請者に最大禁固4ヵ月の刑罰を適用する旨を定めた法案を提出済みであり、フランスとの現行協定についても、英国側が資金協力を行っているのに、フランス側の不法渡航阻止の取り組みの成果が不十分とみて不満を抱いている。