イスラム教批判のミラさん事件:被告人11人に有罪判決

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女子高校生のミラさんに対するインターネット上のハラスメント事件で、パリ地裁は7月7日、13人の被告人のうち11人に執行猶予付き禁固4-6ヵ月の有罪判決を言い渡した。公民権の1年間停止と、ミラさんへの1500ユーロの損害賠償金の支払い及び1000ユーロの訴訟費用負担も、11人全員に命じた。被告人のうち1人は証拠不十分のため無罪となり、残る1人については捜査の手続き上の不備を理由に起訴が取り消された。
ミラさんは2020年1月(当時16才)に、インスタグラムのライブ配信においてイスラム教を激しく批判する発言をしたが、これがインターネット上で炎上し、脅迫などの書き込みが相次いだ。ミラさんは現在も警察による護衛の下で生活している。事件の捜査は新設のヘイトスピーチ捜査班が担当。起訴された13人は、10人が男性、3人が女性で、その大部分が学生であり、特定の宗教は信仰しておらず、犯罪歴もなかった。
検察側は、危害を加えるとの脅迫的な書き込みをした者について禁固6ヵ月、それ以外の者についてはオンラインハラスメントで禁固3ヵ月を、いずれも執行猶予付きで請求していた。被告人の弁護側は、無知のために軽はずみにした行為であると主張。2018年に犯罪として規定されたオンラインハラスメントでは、多数の者が特定の人を標的とすることが成立の要件となっているため、ネット上のバッシングを知らなかったとする主張も展開された。裁判所は、騒ぎになっているのを知らなかったはずはないとしてそうした主張を退け、広く人々に警告する意味を込めて有罪判決を言い渡した。
ミラさんは判決について、ネット上のいじめで自殺に追い込むような行為をやめさせるためにこれからも戦うと言明。また、当局はミラさんの事件で捜査を続行しており、新たに起訴がなされる可能性もある。