ダルマナン法相は12日、司法官らに書簡を送り、刑法改革に向けた意見聴取を開始した。同日までに提出された複数の報告書を踏まえて改革案を策定する。意見聴取を経て、7月14日までに行程表を準備する。国会で過半数を持たない政府にとって、踏み込んだ改革を実現するのは困難だが、法相はかなり野心的な内容の改革案をまとめる姿勢を示した。タカ派の立ち位置である法相は、2027年の大統領選挙もにらみつつ、支持層にアピールする政策を推進する意欲をちらつかせている。
最も大胆な改革は、実効ある刑罰の適用を目的とする刑罰制度の整理で、禁固刑、保護観察処分、罰金、禁止・義務の命令、の4種に整理する。保護観察処分には、禁固の一連の代替刑を含めた各種の措置が含まれる。法相の構想では、禁固刑は、麻薬取引と人に対する暴力のみが対象となり、それ以外の犯罪は、保護観察処分(代替刑を含む)や罰金の対象となる(逮捕勾留の対象にはなる)。法相はその一方で、刑罰に最小限を設定するという過去の規定を復活させる方針を示したが、過去の規定とは異なり、初犯から適用し、また、かなり高めの水準に最小限を設定する考えを示した。刑事施設の定員超過の問題については、モジュラー式施設の増設を通じて、1年半以内に収容能力の増強を図るとし、裁判所の混雑により「待ち時間」が長い問題については、▽民事訴訟に関して調停手続きの利用を義務化する、▽刑事訴訟に関して自己負罪型の司法取引(被告人が事実関係を認めて争わず、罪の軽減を得る制度)を導入する、を提案した。裁判所のデジタル化推進によるサービスの向上も進める。