光ファイバー加入者回線網の開通工事に関する係争が続いている。報道によると、ブイグ・テレコムとSFRが、通信最大手のオレンジに対して、それぞれ1億5200万ユーロと1億8000万ユーロの弁済を求めて争っている。
光ファイバー加入者回線網の開通においては、建物まで来ている回線を、各戸内にまで引き込み、壁面にPTOと呼ばれる端末を整備することが必要となる。この工事は、それぞれの顧客と契約を結んだ通信事業者が行うことになり、その費用も通信事業者が負担する。しかし、顧客が契約を解除して競合に乗り換えた場合には、工事費用を負担した通信事業者は投資の回収が困難になる。この問題に対処するための取り決めがあり、整備された回線をほかの事業者が使うことが決まった時点で、建物までの回線を整備し、回線使用料により潤う事業者(主にオレンジ)が、開通を手配した事業者に投資資金の一部を弁済することになっている。ただ、施工業者にとっては、既に開通している回線を使うより、新規に設置しなおした方が儲かるという事情があって、不正に二重設置を行うケースが多い。これだともとの事業者に弁済がなされないことになる。ブイグ・テレコムはこの件で2023年に監督機関ARCEPから有利な判定を得ており、ARCEPは、回線の利用再開時点ではなく、解約時点から弁済金が支払われるべきだとの判断を示した。オレンジは、負担が大きいとみてこの決定の履行に抵抗しており、これが係争に発展している。通信大手のうちフリーはオレンジとの和解に応じた模様で、SFRとブイグ・テレコムが引き続き争っている。