欧州のヒートポンプ業界団体European Heat Pump Association(EHPA)によると、現在欧州連合(EU)では2400万台のヒートポンプが設置済みで、ヒートポンプの利用がもたらすガス消費の節約は年間に55億立方メートルに上るという。これはEUのガス消費総量の1.6%に相当する。
またヒートポンプは年間45メガトンのCO2排出削減をもたらしており、これはEUの建物部門のCO2排出量の4.9%に相当し、ハンガリーの年間CO2排出量とほぼ同じという。
EUは2030年までに6000万台のヒートポンプを設置することを目指しており、これが達成されれば、年間のガス消費の節約は137億立方メートル、CO2排出削減は112メガトンに達する見通し。ただし、2024年上半期(1-6月)のEU13ヵ国でのヒートポンプ販売台数は76万5000台にとどまり、前年同期の144万台を大きく下回った。販売が後退した理由としては、各国政府の政策の変化、消費者支援策の変更、ガス価格の低下などがあげられ、電力価格が低下しないことも一因という。EHPAは新たに発足する欧州委員会に対してヒートポンプ利用促進策の導入を求めている。また世帯や企業が電気代の安い時間帯を選んでヒートポンプを使用できるように、フレキシブルな電力料金を提供することを呼びかけた。