マクロン大統領、極右・極左へ対抗するため結集を呼びかけ

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総選挙に向けて、マクロン大統領は12日午後に記者会見を開き、見解を表明した。大統領はこの機会に、2027年の次期大統領選挙において極右が勝利するのを妨げるために、この時点で政治勢力に明確な立場の表明を迫るべく、解散を決めたと説明。大統領は、極右の脅威に加えて、メランション氏が率いる「不服従のフランス(LFI)」を念頭において、左翼の極端な勢力も脅威として捉えて、両方の極端な勢力に組しない理性的な勢力に結集を呼びかけた。大統領は、自らの政策について、国家主権、エコロジー・経済、不平等対策、生活向上、外交の5項目を優先課題に設定。具体的な公約については政府による今後の発表に譲ったが、イスラム主義を念頭に置いた政教分離に関する政策の推進に言及し、年金支給額の物価スライドの維持も約束した。大統領は、極右RNについては、財政収支の大幅な悪化を招く非現実的な公約とロシア寄りの態度を批判。左翼LFIについては、「反ユダヤ的」な言動や実力行使の姿勢を問題視した。
他方、極右RNとの協力を巡り揺れる保守野党の共和党では、RNとの協力を決めたシオティ党首を党の政治局が全会一致で除名することを決定した。しかしシオティ党首は、決定には何の効力もないと主張し、引き続き党首の職を務めると言明。RNとの選挙協力に基づいて候補者の選定を進めると予告した。党は前代未聞の混乱に陥った。
極右新党「ルコンケット」でも、RNとの協力を巡り党を二分する混乱が生じている。同党を率いるエリック・ゼムール氏は、RNとの協議に応じたマリオン・マレシャル氏(欧州議会選における筆頭候補)をはじめとする欧州議会選挙の当選者ら数名を除名すると発表。党員党友を裏切って、一族の元に戻った(マリオン・マレシャル氏は、RNを率いるマリーヌ・ルペン氏の姪に当たる)「家族呼び寄せ」の賛同者だ、などと罵倒した。