中国政府、フランス産コニャックなどを対象にダンピング調査を開始

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中国政府は5日、欧州連合(EU)産のワインを原料とする蒸留酒を対象にしたダンピング調査を開始したと発表した。中国の酒造業界団体の提訴を受けて調査を開始するという。
コニャックなどフランス産の蒸留酒が主要な対象となる。折しも、2024年の「仏中文化観光の年」開始に当たり、仏グレゴワール観光担当相が中国を訪問する中での発表となった。また、EUは去る9月に、中国のEVへの補助金を対象とする調査を開始したが、調査開始に当たってはフランスの強い後押しがあり、今回の中国の調査開始はフランスへの意趣返しとも考えられる。
中国政府の発表によれば、酒造業界団体は去る11月にこの問題を提訴した。団体側は、2022年10月から2023年9月にかけてダンピングの被害があったと主張。不当廉売幅は15.88%に上るとして、応分の制裁関税の導入を要求している。コニャックの業界団体BNICのデルペッシュ理事長は、中国が2020年にオーストラリア産ワインを対象にした調査を開始した際には、不当廉売幅が200%超とされており、今回の提訴は幅が極めて小さいと指摘。不当行為の事実はないとも説明している。なお、中国はコニャック輸出の4分の1(数量ベース)を占める重要市場。調査は12ヵ月から18ヵ月程度続けられる見通し。