仏通信大手オレンジのサイバーセキュリティ子会社「オレンジ・サイバーディフェンス(OCD)」は14日、スイス同業2社を買収すると発表した。ローザンヌ地方に本社を置くSCRTとTelsysの2社を買収する。両社は合計で売上高が約5000万スイスフラン、従業員数は約100人。買収額は未公表。
OCDは、企業買収で事業規模を広げてきた。ただし、2019年のSecureData(英国)とSecureLink(ベネルクス・ドイツ)を最後に、新型コロナウイルス危機以来では企業買収の手を休めていた。今回の買収は比較的に小さい規模だが、企業買収再開を画する取引となる。
サイバーセキュリティの分野では、有能な人材の確保が重要な要因となり、企業買収はその手段ともなる。業界の離職率は15-20%に上り、オレンジはそれよりはいくぶん低めであるという。OCDは従業員数が2700人、うち45%が外国勤務となっており、スイスは買収前より収入で同社にとって第3の市場だった。OCDはフランスでは最大手だが、欧州全体では5本の指に入る業者という位置づけで、欧州市場をはじめとする外国事業の強化が課題となっていた。同社は2021年に8億3100万ユーロの売上高を達成、14%の増収を記録している。2023年には10億ユーロの突破を目指している。