NGOの「不平等観察局」は1日、富裕層に関する報告書を公表した。「富裕者」に関する定義を提案した。
これによると、国民の所得額の中央値の2倍以上の所得の人が富裕者と定義される。この定義に従えば、2019年においては手取りの所得(社会給付含む、公租公課を控除後)が月額3673ユーロ以上の人(独身者の場合)が富裕者となる。配偶者と2人の家族では5511ユーロ、14才未満の子ども2人がいる夫婦の場合は7713ユーロが下限になる。この下限を超える人は人口の7.1%相当で、実数にすると450万人程度ということになる。ただし、例えば、持ち家に居住しているか、それとも借家人であるかにより、家計の可処分所得はかなり変わってくることになるため、上記の定義では、富裕者を正確に把握するには不十分であると考えられる。持ち家の有無、セカンドハウスの有無、外国旅行の実績や家庭内労働者の有無などの指標と組み合わせた評価が望まれるという。他方、この定義での富裕者は、2010年時点では国民の8.6%に上っており、10年間で減少傾向を示している。2008年の金融危機を境に、富裕者の所得増加の勢いはその前の20年間に比べて鈍ったという。
不平等観察局は、資産額についても富裕者の定義となる最低限について提言している。家計の資産額(債務控除前)の中央値の3倍(16万3000ユーロ)を超える資産を有する世帯が富裕層に分類される。これだと、450万世帯が富裕世帯(人口の15.5%相当)になる。