仏貿易赤字、2021年に過去最大

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

8日発表の公的統計によると、2021年通年の貿易赤字は847億ユーロに上り、前年の642億ユーロを大幅に上回った。過去最大だった2011年の750億ユーロを上回り、過去最大記録を更新した。
前年の2020年には、新型コロナウイルス危機の影響で、輸出と輸入がいずれも大幅に後退していた。2021年には、景気回復を受けて輸出入とも大きく増加。輸入は5856億ユーロ、輸出は5009億ユーロとなったが、輸入の伸び(19%増)が輸出の伸びを大きく上回り、赤字幅が拡大した。輸出はまだ危機前の水準には復帰していない。貿易赤字の拡大にはやはりエネルギー価格の高騰の影響が大きく、エネルギー収支の赤字額は431億ユーロと、前年の252億ユーロから急増した。
他方、サービス収支は2021年に362億ユーロの黒字を記録。黒字幅は前年(164億ユーロ)と比べてほぼ2倍に拡大した。経常収支は対GDP比で0.9%の赤字となり、赤字幅は前年の同1.9%と比べて縮小したものの、赤字が続いた。
BNPパリバのエコノミストは、工業製品の貿易赤字が2015年には120億ユーロ程度だったが、2021年には500億ユーロ程度に達したと指摘。消費にとどまらず、工業部門の中間財需要を含めて、対外依存が高まっているとの見方を示した。個人消費という点では、家計が旅行などレジャーの支出が減った分、耐久消費財を中心とした消費に資金を振り向けているという事情があり、これも外国製品への需要を押し上げる要因となっている。