UNEDIC(失業保険管理機関)はこのほど、高齢失業者に関する調査結果を公表した。56歳を境に再就職の可能性が目立って閉ざされるとの結果が得られた。
この調査は、2022年に失業登録をした50-65歳の35万人を対象に行われた。この年齢層による失業登録は、同年に登録全体の17%を占めていた。全体として、この年齢層で失業登録をした人は、それより若い世代(16-49歳)の登録者と比べて、学歴が低めであり、安定した職(無期契約又は6ヵ月を超える有期契約)についていた人が多かった。
50歳以上の年齢層では、登録から12ヵ月以内に安定した職に就いた人の割合は全体で28%だった。この割合は、健康上の理由で失業した人では16%と低く、前職が有期雇用(CDD)だった人では35%と高い。ただ、いずれの種類の失業者でも、50歳と比較すると、再就職率(安定した職に就いた人の割合)は、56歳を過ぎると低くなる。種類別では、前職が派遣雇用だった人で、50歳の28%が、61歳では14%に低下、前職が無期雇用(CDI)の人の場合は37%から11%に低下する。前職の勤続年数が10年以上だと、失業者の再就職率が目立って低下するポイントは54-55歳と早めに来る(3年以内の人では57-58歳)。これは、就労実績が長いと失業手当の支給額がより大きくなり、それだと再就職のインセンティブが削がれる結果を招くためだとも考えられる。
再就職率が低下する理由は様々考えられる。年金受給開始が近くなるにつれて就業意欲が薄れる可能性があり、また、年齢層が高く、特に健康上の理由があると、再就職するとしても、より柔軟な就労形態を好む傾向が高まることも考えられる。トレーニングの不足や、企業側での採用の手控えももちろん考えられる。