仏通信大手オレンジは11月26日、自社イベント「オレンジ・オープンテック」を開催した機会に、AI(人工知能)の新サービスを公表した。
オレンジは、通信事業者が整備・運営するインフラを利用するインターネット大手に付加価値を吸い取られるという構図に抵抗して、自ら高付加価値のサービスを提供する事業者となることを目指している。サイバーセキュリティへの注力はそうした戦略の一環だが、AIサービスも次代の収益力の柱と位置付けて、その強化を図っている。新サービスの「Live Intelligence Open」は、法人向け事業部門オレンジ・ビジネスを通じて、チャットボットを容易に導入できるプラットフォームを提供するもので、自前で必要なリソースを持たない中小・中堅企業をターゲットに売り込む。オープンAI、ミストラルAI、メタ、グーグルなど各社が開発した大規模言語モデルを統合可能で、オレンジは、社内で「Dinootoo」なるコードネームでテスト運用を行った上で、顧客向けに提供を開始することを決めた。料金等については今後に公表されるが、特別な知識を必要とせずに、受信メールの大量処理や規定の入力フォーマットへの落とし込みなどの作業を省力化することができることを売り物にする。
オレンジは昨春より、ベンチャー企業LightOnの協力を得て、AIモデル開発のサービスを法人向けに提供しており、7-9月期に同事業では数百万ユーロの売上高の達成を見込んでいる。AI関連ではこのほか、アフリカの地方言語(ウォロフ語、プラー語)の大規模言語モデルの改善で、オープンAI及びメタと提携。オレンジが積極的に事業を展開するアフリカでの切り札にしたい考え。